インフルエンザ
インフルエンザイについて、院内用リーフレットを添付します。
参考にしてください。
インフルエンザについて
インフルエンザは、通常、急激な発熱で発症します。頭痛、全身倦怠感、筋肉痛などの症状が強く、咳は、少し遅れてでてきます。熱は5日程度続き、倦怠感は1週間以上残ることもあります。さらに、脳症や熱性けいれん、肺炎、中耳炎などの合併症を起こしてこじらせる場合もあり、特に6才未満で起こりやすい脳症は、発熱から脳症発症までの時間が0~1日程度ととても短く、症状が激烈なので大変です。
インフルエンザの潜伏期間は1~2日で、同じ地域で一度に多くの人が発症する傾向があります。
インフルエンザの診断
最近のインフルエンザ医療の変化は目覚ましく、綿棒で鼻の奥から鼻汁を採取して検査を行なう迅速診断で10分程の短時間で判定可能です。しかし、100%の診断率でないこことを理解しておいて下さい。特に12時間以内では陰性になる可能性があります。
治療
現在、3種類の抗インフルエンザ薬があります。いずれも48時間以内に治療を開始する必要があります。
1.アマンタジン(シンメトレル)
A型のみに有効です。1~2日はやく解熱させる効果があります。副作用として、
吐き気などの消化器症状、不眠、興奮などの作用も一部の人で認められます。最近は、ほとんど使われることはありません。
2.タミフル
A、B型ともに有効です。1~2日はやく解熱させる効果があります。B型インフルエンザであはA型に比べて効果は弱いことがあります。
3.リレンザ
A、B型ともに有効です。タミフルとほとんど同じ作用の薬ですが、内服ではなく吸入する薬です。したがって、6歳以上くらいが適応になると思われます。
4. イナビル
A、B型ともに有効です。初日一回のみの吸入薬です。成人は4吸入(2キッド)、10歳以下は2吸入(1キッド)です。
5.ラピアクタ
A、B型ともに有効です。吐き気が強い場合、吸入・内服ができない場合に、点滴で使用する薬です。
発熱後48時間以内に病院を受診し、正確な診断と治療をすることで1~2日早く解熱し全身状態の回復が期待できます。しかし、安易な薬の使用は禁物で、すでに薬の効かない耐性ウイルスも検出されています。インフルエンザの治療は抗インフルエンザ薬の開発で大きく変わりましたが、基本は安静、水分、栄養補給などが重要です。抗インフルエンザ薬の解熱効果は内服後1日半ほどしてからと考えられていることからこのような発熱はインフルエンザ以外のかぜ症候群の可能性が高いと考えられます。正しい情報と落ち着いた対応でインフルエンザに打ち勝ちましょう。
登校、通園に関しては、治療薬により解熱後3日間はウイルスの排出が多い時期というデータがあることから、解熱後3日の休校が必要と考えられます。従って、登校(園)禁止の期間は、発熱してから5日または解熱後2日がめやすです。
インフルエンザ脳症
これは小児科としてさけては通れない話題です。皆様の大切なお子さんの健康を考えると頭の痛い問題です。現時点では原因が解明されていません。したがって、家庭でどのようなことを注意するかですが、発症早期からの急激な発熱(41度近い高熱)の場合や特に異常な言動、たとえば家の中にアヒルがいる、自分の指がソーセージに見え食べようとするなどがみられれば早急に病院を受診するようにしましょう。また、インフルエンザ流行時には熱性けいれんも多くみられますが、脳症の時も意識障害、けいれんを伴います。熱性けいれんはほとんど数分で止まりますが、脳症の場合にはけいれんが止まらないことがほとんどです。以上のような時は早急に病院を受診するようにしましょう。
また、一部の解熱剤(ボルタレン、ポンタール)を使用すると脳症を重症化させると考えられています。インフルエンザ罹患時はアセトアミノフェン(アンヒバ、アルピニー、カロナール等)を使用して下さい。
この冬も、規則正しい生活、手洗い、うがいなどを行ないインフルエンザに負けないようにしましょう。