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RSウイルス感染症

RSウイルス感染症

 Respiratory syncytial virus(RSV)といい、特に乳幼児期において非常に重要になる原因ウイルスです。生後数週から数カ月の期間にもっとも重い症状を引き起こすことがあり注意が必要です。また、低出生体重児や、あるいは心肺系に基礎疾患があったり、免疫不全のある場合には特に重症化しやすい病気です。 

    流行は冬季にピークがあり、初春まで続きます。11~1月にかけての流行が報告されていますが、年によっては8月くらいから12月にかけて流行することがあります。  

    RSVは乳幼児における肺炎の約50%、細気管支炎という病気の50~90%を占めます。生後6カ月以内でもっとも重症化して、1歳までにで50~70%以上の新生児がかかり、3歳までにすべての小児が抵抗力を持つこととなります。

  症状  

    RSVの感染は軽症の感冒様症状から重症の細気管支炎や肺炎などの下気道疾患に至るまで様々です。潜伏期は2~8日、典型的には4~6日とされていますが、発熱、鼻汁などの上気道炎症状が数日続き、その後肺炎や細気管支炎を併発してだんだんと症状がきつくなってくる病気です。
   発熱は初期よりも数日してみられることが多く、特に1歳台が高熱になる傾向があります。咳が主要な症状で、咳き込んで吐いて眠れないという症状になりやすい特徴があります。特に細気管支炎では喘息のような喘鳴、胸がぺこぺことなる陥没呼吸や呼吸困難がみられます。病気の期間は7?12日で、入院例では3~
4日で改善してきます。  

    また、RSVは再感染しますが、年とともに症状は軽くなってきます。兄弟間での感染が目立ち、上の子から下の子にうつって、下の子が重くなる傾向があります。

   診断    

   診断は、鼻腔の粘膜からインフルエンザと同じように迅速診断をすることができ、10分程度で判定できるようになっています。


  治療・予防

   RSVに特に効果のある薬はありません。基本的には、安静、こまめな水分補給、加湿器などの使用で部屋の湿度を保つ、発熱時には鎮痛解熱剤の使用など一般的な風邪に対する治療となります。呼吸が苦しそうであれば早めに医療機関を受診してください。重症化して入院治療が必要になれば、酸素投与、輸液、呼吸管理などの治療を行うことになります。

    予防のためのワクチン開発への努力は30年来続けられていますが、まだ実用化されていません。現在利用可能な予防方法としては、パリビズマブ(シナジス)があります。非常に高価で、まだ未熟児や心臓病をもつ子どもに接種できるだけで、限られた予防法となっています。方法は毎月筋肉注射を行います。

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